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2007年12月15日

隠れた名店・・・「福翔飯店@四ツ谷」物語

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まず、この店の名前を覚えて欲しい。
四ツ谷の「アーバンチャイナ 福翔飯店」だ。
→ http://r.gnavi.co.jp/a944600/

四ツ谷駅から徒歩3分。
飲み屋街の奥まった場所に、この店は在った。

色合いがくすんで目立たない看板と、2Fへ続く細長い階段。
当然、通りから店内はまったく見えない。
通りすがりにふらっと入ろうとは思えない店構えだ。
建物の1Fには、写真の美しい「鳥の水炊き」の店があり、思わずそちらに目が行ってしまう。

水炊きの誘惑を断ち切り、私たち一行は階段を上った。
なぜなら、水炊きの店は混雑していた。
目当ての有名おでん店が満席、別の店を探すも忘年会シーズンで断られ続け、すでに私たちは歩き疲れていたのだ。

ドアを開けると、良くある中華料理店といった、赤を基調とする装飾や、金の屏風、壁一面に張られた「美しくない」手書きの価格表などが飛び込んでくる。

流暢な日本語を操る中国人の男性店員が、やや無愛想にも聞こえるトーンで「いらっしゃいませ」と声をかけてきた。

「こちらにどうぞ」

ドア近くの、8人がけ丸テーブルを示された。
私たちは大人しく席につくと、きょろきょろと店内を見回した。

50名は入れるであろう、広い店内。
しかし、2Fフロアに、客は1組も居なかった。

(この忘年会シーズンに・・・なぜだ!?)

思わず席を立ちたくなるが、一度入ってしまった手前、そこまで失礼なことはできない。
ぐっとこらえて、メニューに目をやる。

・・・安い。

このクラスの中華料理店といえば、1皿1000円以上が相場だ。
海鮮系の炒め物など、1500〜2000円程度してもおかしくない。

相場の約半額。
ほとんどの料理が、1000円以下に抑えられている。

ふと壁に目をやると「おすすめ料理」の文字が目に留まった。

『上海蟹1280円→980円』

四ツ谷辺りでは、見たことがないくらい、安い。

『本日、麻婆豆腐680円→340円』

定食屋と見まがうほど、安い。

とはいえ、その安さがますます私を不安にさせた。
冷凍食品やレトルトのレベルかもしれない。
まあ、値段に見合った味ならば、仕方がないというものだ。
とにかく不味くないならばいい、酒さえ楽しめればいいと思った。

上海蟹は、通常の蒸したものと、生のまま紹興酒に漬け込んだもの(酔蟹という)があるという。
2種類の上海蟹と、前菜・炒め物・点心を適当に注文する。

まず、出てきた前菜。
意外と・・・いや、確かに美味い。

スパイスにこだわった、本物の中華料理だ。
次々と運ばれてくる料理が、値段の価値を大きく越えて美味かった。

そして・・・ついにあのメニューがやってきた。

上海蟹。
蒸し蟹は、まずます。
紹興酒付けの蟹は、茹でられていないために黒ずんだ色合いで、手に取らずとも鼻腔をくすぐるほどの芳香を放っていた。

恐る恐るしゃぶりつく・・・


 『なんだ、この味は!!』


入り組んだ足の隙間から押し出され、ねっとりと舌に絡み付いてくる蟹肉。
上海蟹の特有の甘さを残しつつ、紹興酒の力で熟成されたその風味は、通常の「茹で上海蟹」とは比べ物にならない濃厚さだった。

舌の先からしびれるような旨みが脳を蹂躙し、連鎖反応のように「もっと吸い出せ」と口元に命令を下していく。
あっという間に、1匹の蟹から、やわらかい部分が無くなった。

「この蟹を、もう1つ」

即座に注文するも、今日出せる分はこれで終了したとのこと。
最後の1匹だった。
間に合ったことに感謝しつつ、以前静岡の漁港で採れたての生ウニを食べたときのことを思い出していた。

例えば、ウニが好きだという人は多い。
採れたてのウニは、絶品だった。
しかし、この上海蟹を食べると、普通のウニが食べられなくなるのではないか。

なぜ蟹と比較しないかというと、この料理はすでに蟹ではないからだ。
(茹で蟹ならば比較もできるが)

特に、酒好きならば、たまらないだろう。
酒が苦手であっても、少し舐めるだけでこの蟹の魅力に気が付くに違いない。

絶品の珍味、ベーシックだが味わい深い中華を腹いっぱい食べ、ほどほどに酒を愉しみ、会計すると四ツ谷ではありえない価格が提示された。

私は階段を下りながら、考えた。
隠れ家と呼ばれる店は数あるが、この店は本当に隠れている。

このまま、客など増えないで欲しい。
客が増えると、この蟹もすぐに品切れになるだろう。

しかし、一晩で客が1組とは、あまりにも辛い。
(正確に言うと、ずいぶん経ってから2人組の客が入って、店内は2組になったのだが)

いや、たまたま今日は客の入りが悪かったのだろう。
このような店には、隠れ家を好む人間が人知れず住み着くものだ。

(この私のように・・・)

薄汚れた店の看板を、そっと手のひらで撫でた。


(おわり)


一昨日、径書房さんの忘年会で使った中華料理店ストーリーです。
(体験談ベースの、フィクションです)

このお店の話は、絶対に単独で書かなきゃいけない・・・
そう思ったのは
「こんな良心的なお店が埋もれているのは許せん!」
と、しこたま紹興酒を飲んで叫びまくっていた、径書房Hさんにビビ・・・いや、心を動かされたからです。

(生まれて初めて上海蟹食べたー。ごちそうさまでした♪)

このお店は曙橋に「飲茶・上海料理 姜太公」という新店もオープンさせています。
まだぐるなび等にも出していないみたいなので、住所を書いておきましょう。

「飲茶・上海料理 姜太公」

新宿区住吉町2−18
03-6807-1788

曙橋A1出口より徒歩30秒
年中無休
ランチタイム 11〜14:30
ティータイム 14:30〜17:30
ディナータイム 17:30〜23:00


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投稿者 tururiko : 2007年12月15日 23:32

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コメント

金沢にも、めちゃめちゃうまくてボリュームたっぷりで激安な中華料理屋があるけど、やってる中国人が数年に一度、ビザ更新で本国に帰るために一時閉店するのが玉に瑕(^_^;)

投稿者 こうめ : 2007年12月16日 01:16

>こうめっち

おー!いいねぇ。
うまくて安い中華料理屋♪
(先月お友達のたへちゃんが、金沢行ってただよー。羨ましっす・・・)

ビザねー。
日本人との結婚を勧めてはどうだろう?(←身勝手)

投稿者 かみせきくみこ@軟水 : 2007年12月16日 13:51

おおおお〜〜

感動的な読み物でした。

ぜひ今日から主旨替えして
グルメブログにしましょ〜w

ぐるなびに乗るとメジャーになってしまうから
その前に行ってみたいですねー

この際、目をつけたチャイナシェフとくみちゃんが結婚するというのはどおでっか?(←無責任)

投稿者 りー : 2007年12月16日 16:59

こっちの中華は、すでに夫婦でやってるので残念ながらカミさんの入る余地はないのであった・・・(笑)

投稿者 こうめ : 2007年12月16日 23:43

>りーさん

こういうこと書くから、かみせきくみこ=40代オッサン説が流れてしまう・・・(←経験アリ)

上海蟹のシーズン中に、ぜひ一度行ってみてくださいまし♪
私ももう1回行きたいなぁ〜。

結婚はね・・・ご縁ですからね・・・_(._.)_

投稿者 かみせきくみこ@軟水 : 2007年12月17日 01:17

>こうめっち

OH!そーなんだ。
小さい店を夫婦で切り盛り・・・ええのぅ(*^_^*)(←妄想)

投稿者 かみせきくみこ@軟水 : 2007年12月17日 01:18

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